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「侑さんは?早く終わったの?」
セーラー服にあたたかそうな茶色のセーターを合わせ、通学バッグを肩に引っ掛けている侑さんは、見るからに学校帰り。よって僕はそう聞いた。
「んー、アタシはサボり」
え、サボり?学校をサボったってこと?
侑さんの答えに僕はびっくりしてしまう。
そして同時に感動した。
カッコいい。
学校をサボるなんて大変な不良だけど、勇敢なことすぎて小学生男子の僕には輝いて見えた。
「なに、その顔。言っとくけど普段は真面目に授業受けてんだからね」
じとっとした目で僕を見てきたけど、それすら僕にはカッコよく見えた。
そして侑さんは、不意に僕の腕を掴んだ。僕がどきりとする間もなくずんずん歩き出す。
「折角だから共犯者になってもらうよ。買い食いしよ」
買い食い!?
僕は再び驚いてしまう。
学校帰りになにか食べるなんて、やっぱり不良だ。お母さんに知れたら雷が落ちるだろう。
でも僕は侑さんに掴まれた腕を払おうとは思わなかった。
共犯者、という言葉の響きがあまりに魅力的だったから。
僕も不良になってもいい、と思った。侑さんみたいなカッコいいことをしてみたい。
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