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「肉まんくらいオトナになったらたくさーん買えるし!侑さんのことだって守れるくらい強くなるよ!」
不満を覚えて言い募ったのだけど、鼻で笑われた。酷いや、僕は真剣なのに。
「学校サボったくらいで犯罪者だの守るだの大げさな」
ふん、と鼻を鳴らした侑さんだったけれど。
「まぁ、稔くんが一人前の共犯者になるまで待ってあげてもいいよ」
そのあとには嬉しすぎる言葉が返ってきた。
「ま、こんな犯罪者、稔くんが大人になる頃には呆れられてるだろうけど」
そう付け足されたけれど、僕には大いに不満だった。
真剣だったのに、オトナになったって呆れたりするはずないのに。こんなカッコいい侑さんのこと。
「そんなわけないよ!」
力説しようとしたのに途中で遮られてしまった。
「はいはい。さーて、おやつもなくなったしアタシはゲーセンでも行くかな」
ゲーセン。
僕はまた侑さんの勇敢さに心打たれた。ゲーセンもお母さんに「一人で行っちゃ駄目よ」って言われてるとこだから。
「稔くんも行く?」
それがよくわかっているはずの侑さんに、挑発するようににやりと笑われた。そう言われたら答えなんてひとつしかないじゃないか。
「いっ、行くよ!侑さんが危ない目にあったら困るから!」
「あっは。じゃ、ボディガードしてもらうかな」
侑さんは心底楽しそうに笑ってベンチを立って、それで連れ立ってゲームセンターへ行ったのだけど。
有能な『ハンザイシャ』ではなかった僕は、帰ってからお母さんにそのことがバレて、一週間おやつ抜きの罰を食らってしまったのだった。
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