始まりから終わり

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始まりから終わり

連日の秋雨が止み、久しぶりに顔を覗かせた太陽に誘われるかのように、私は何気なく空を見上げた。 そこには、夏の名残を留めた光を放つ太陽と、単純に青と言い表すには気が引ける、複数の寒色が入り混じった色彩を持つ空が広がっていた。 壁面に表記されている不吉な番号を見ないように、いつもは俯き加減で歩いているせいか、通りを挟んで林立している団地棟に切り取られた空を見るのが、思えばかなり久しぶりだと、私はこの時気が付いた。その凹凸のある形は、ジグソーパズルのピースを連想させる。 嵌め込む箇所を探すのに苦労しそうだなと、そんなどうでも良いことを頭に思い浮かべながらも、習慣化された所作を失念することはなく、いつものように不吉な番号の目視を避けるべく視線を下げ掛けたその時だった。 前方の空に浮かぶ、少し変わった形をした雲が、私の視界に飛び込んできた。 向かって右上の部分が角の様に突起した、左側の曲線が波打つ丸い形状のその雲は、見方によってはサムズアップした拳に見えなくもない。 普段見ない空を見上げ、少し変わった雲を見付ける。     
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