145人が本棚に入れています
本棚に追加
傲慢で我儘な態度にうんざりしながらも、桜子の為、調理に取り掛かる。
野菜やベーコン等の食材を刻んでいると、その横に立ち、彼女は楽しそうに俺を見上げた。
「ホント器用だよね、悟は。
いいお婿さんになれるよ、きっと。」
...この発言は、流石にちょっとムカつく。
「ありがとう。自分でもそう思うよ。
だから早く俺の事、貰ってやってね。」
にっこりと微笑み、答えた。
ポカンと呆けた顔の彼女の唇に、キスを落とす。
何を言われ、されたのかをようやく理解したらしい桜子の顔が、一瞬のうちに赤く染まる。
「...二回目なんだから、いい加減慣れろよ。」
「...信じらんない、馬鹿じゃないのっ!」
俺の事を真っ赤な顔で睨み付け、彼女はリビングへと逃げていった。
俺はそんな彼女を見て、くくっ、と喉を鳴らし、笑った。
そう、桜子にこういう事をするのは、二回目。
一回目は先月、実家に帰省した時。
...俺は彼女に想いを告げ、唇を奪った。
最初のコメントを投稿しよう!