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2 天才イケメン高校生作家、本業から逃げてバイト中
都内某所、東探偵事務所。
……と看板には書いてあるが、実態は違う俺らのバイト先だ。
依香曰く「料金取らない謎のバーネット探偵社やブラントの国際探偵事務所ほどじゃないが、普通の探偵事務所じゃない」。元ネタ分かんないんで、分かった人は教えてくれ。
ここは表と裏の社会のバランスを保つための第三者機関、通称『仲介者』だ。
業務内容は表と裏の橋渡しや連絡所、トラブルの際の調停役だ。中立で公平な裁判官だと思ってもらえばいい。
所長の東(あずま)は年齢不詳の飄々とした男性。椅子に腰かけたまま声をかけてきた。
「よう、ヤス、ヨリちゃん。今回は警察からの要請な。最近一般人のグループが援交手広くやり始めたらしくて、ただその手法が分からず証拠がつかめないんだと。裏社会も一般人が出しゃばるの嫌いだから排除してほしいとさ」
「分かりました。てことは誰がやってるか目星はついてるんですね?」
「このJK二人は少なくとも間違いない。前科があるし。それがバレて退学になったんで、正確にはもう女子高生じゃないがな」
パソコンの画面にJKの画像が映る。明らかに隠し撮り。制服着てて、鞄にはこれでもかってほどアクセがじゃらじゃら。重くないのか。
「この制服、某有名女子高のものだな。どこで入手したんだか。衣装に合うよう黒髪でナチュラルメイク、でもネイルばっちりでピアスしててスマホもデコりまくりか、ツメが甘い。もっと上手くやれよ。しょせんコスプレの域でしかない」
「プロは厳しいな。兄貴は変装得意だもんな」
「尾行がバレたらしく、この二人は客とるの中断したようで、手法が分からなくなったのさ」
「尾行バレた刑事、叱られたじゃ済まなかったでしょうね」
「兄貴もさんざん警察泣かせたくせに。『黒王』」
かつてのあだ名を出され、俺は依香を睨んだ。
「一年前突然姿を消した裏社会の有名人物で、常に黒服を着てることからそんなあだ名がついたとされる。詳細不明。活躍したのは短期間だが、今も名を出せば縮み上がるのが結構いる……」
「依香。俺はもう足洗ったんだ」
今の俺の姿は青のロンTに白パーカー、ジーンズ。某ファストファッションので、どこにでもいる男子高校生の平凡な格好だ。
実妹はちらっと見ただけでそっけなく答え、話題を戻した。
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