0人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
「そうなのっ!?」
わたしの知らなかったことを次々と教えてくれるおねーさんの話をわたしはもっと聞きたかった。
「あはは、じゃあ、私からも教えてほしいことがあるんだ」
そういうと、おねーさんはわたしのことをじっと見つめて、唇を動かした。
「君の名前は、なんて言うのかな?」
ん? と首をかしげそうになったけれど、そういえばまだ、わたしはおねーさんに自分の名前を教えていないことに気がついた。
初めて会う人にはちゃんと自己紹介をしなさいと、お父さんやお母さんに言われていたのに、すっかり忘れていた。
「えっと、ひとみ! 天音瞳って言います!」
学校で初めてクラスのみんなにするように、わたしは大きな声で自己紹介をする。
今から思えば、山奥のキャンプ場で大声を出したら怒られそうなものだけれど、幸い、この敷地にテントを構えているのはおねーさんだけだったので、わたしが他の人たちに迷惑をかけることはなかった。
今、ここにいるのはわたしとおねーさん。
そして、今宵の空を彩る星たちだけだ。
「なるほど、天音さんところの子供だったのかー。道理でどうりで」
「?」
最初のコメントを投稿しよう!