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わたしがおねーさんの言うことがいまいちピンと来なくて首を傾げると、また可笑しそうにおねーさんはクスクスと笑う。
「ごめんごめん、君が知るのはまだ随分と先だったね。でも、私だって会う機会がないからね」
「お父さんとお母さんのことを知ってるの?」
わたしがそう尋ねると、おねーさんは含みのある笑顔を浮かべて、わたしに告げる。
「知ってるよ。でも、知らないの」
まるでなぞなぞみたい、と唸りそうになるわたし。
でも、とにかくおねーさんはお父さんたちの知り合いみたいだ。
「そうだ、ココアが残っていたんだった。つくってあげるけど飲む?」
「ココア! うん!」
わたしは毎朝お母さんが作ってくれるココアを欠かさないほどのココア愛好家だ。
おねーさんは、椅子の近くに置いていたバッグの中から新しいマグカップを取り出して、ココアの作る準備を始めてくれる。
わたしはその間も夜空に輝く星を眺めては、一つずつ、いくつ星があるのか数えてみることにした。
「はい、出来たよ。熱いから気を付けてね」
わたしが数える星の数が八十八個になったところで、おねーさんが椅子の上で新しいマグカップを持っていた。
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