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Prologue 夢想の星模様
小説版 わんめるぴぃ
「わぁ、すごい……」
わたしは空に広がる幾万の輝きを前に、声をあげる。
真っ暗なキャンバスに、神様が光の砂を撒いたような神秘的な光景だった。
まだ小学二年生だったわたしは、この素敵な景色をどう言葉にしていいのか分からずに、ただただ圧倒されるだけだった。
そして、キラキラと輝く砂の中に、わずかに線を描く軌跡が見えた。
「あっ、流れ星!」
今まで、存在だけは知っていたものが実際に現れたことに喜びを隠せないわたしは、今度はしっかり確認しようとじぃーと空を見上げ続ける。
「ははっ、そんなに見られちゃ恥ずかしがってお星さまも隠れちゃうよ?」
その声に反応して、顔を一度地上に戻すと、大きな帽子を被ったおねーさんがマグカップを持ってわたしを見ていた。
キャンプのときなどによくみる組立式の椅子に、その後ろにはテント。わたしのお父さんが張り切って買ってきたテントよりも、ちょっとだけ小さかった。
「お星さま、隠れちゃうの?」
わたしがおねーさんにそう尋ねると、くすくすと笑い声が聞こえた。
「冗談だよ、お星さまはいつだって私たちの上で輝いているんだよ。もちろん、太陽が出ている朝やお昼でもね」
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