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第三章 友達
「ウワサになってるね...」あやっちがなぜか小声で言った。
その日、ウワサはどんどん広がり、午後には学校全体がその話で盛り上がっていた。
「誘拐だ!」「家出じゃない?」「事故でしょ」
神隠しだと言う人まで出てきた。
「さすがに神隠しはないでしょ...」あやっちが苦笑してる。
「それな」私は興味なさそうに返した。
今、そんな事考えてる暇じゃない。
「また漫画描いてるの?」あやっちは青木のことを話したがっている。
まっ、付き合ってやるか。
「青木バチ当たったんじゃない?」
「それ、めっちゃ思った!」あやっちが楽しそうに話している。なんだか、腹立つ。
青木はそもそも、みんなに嫌われていた。
誰が話しかけても、本を読んでいて無視ばっか。おまけにめっちゃ頭良くて、テストは常に百点だった。中学で常に百点はすごいと思うけど、あまり好かれるタイプじゃなかったから、いつの間にか嫌われキャラになっていた。
「青木いない方が平和じゃね?」隣に座っていた、女子が私達に話しかけてきた。
「それなー!」あやっちと二人同時に言う。
別にイジメじゃない。私達だって、青木がいるせいで苦労してるのだ。先生に勉強のことで『青木を見習え』とか言われたり。これも別に八つ当たりじゃない。先生はわかってないんだ。地球には天才とバカがいることを...。
「てか、家出じゃない?」私が言うと、「それあり得る」みんなが共感する。
こんな話興味ない。私は漫画を描きたい。
「先生、行方不明報告いらないし!」私は早く話を終わらせたくて、そう言った。みんなも共感した。
その時だった。
バンッ!。斜め前に座っていた佐々木(ササキ)マユが机をおもいっきり叩いて立ち上がった。クラスが沈黙になる。
そして、いきなりこっちを振り向き歩いてきた。
ヤバい。佐々木は青木の幼なじみだった。もし、今の話を全部聞いていたとしたら?
「支倉さん。」佐々木は無表情で私に話しかけてきた。「漫画のコンテストで負けたからって、みどりに八つ当たりしないでくれる?」
それだけ言うと、さっさとクラスを出ていった。
クラスは少しの間だ、静かだったけど、またいつもの雰囲気に戻った。
「今のは言い過ぎだと思う。」一人の女子が私に向かって言った。
「うんうん」みんなもうなずく。
あやっちもコクリとうなずく。
え?...今あやっち私のこと...
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