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第六章 ルア
『...りっ.........かりっ...............』
...もう、うるさいな。今寝てるんだから静かにしてよ!
『......かりっ.........あかりっ!!!』
...ん?その声は、あや?私は目をゆっくりと開けた。ボヤける目をこすりながら、重い体を起こす。
『あかり!?よかった...うう.........死んじゃったかと思った...生きててよかった』
だんだん視界がはっきりしてくる。白い天井、肌触りのいいベッド、
そして泣いている...
「あや?」そこには涙を流しているあやと、ベッドのまわりでホッと胸を撫で下ろしているお母さんとお父さんがいた。
『あかり!もう!心配したんだからね?本当よかった...』
「私...どうして.....」私が尋ねると、あやは意気揚々と答えた。
『ここは病院!あかりは塾の帰り、階段から落ちて意識を失ってたの...結構な出血で、危なかったってお医者さんが言ってた。でもよかった、生きてて』
じゃあ、さっきのは夢?
『本当によかった...』お母さんはハンカチに顔を押し付けながら、泣いていた。お父さんもお母さんの背中をさすりながら、泣いている。
そっか夢だったんだ...。
ゆっくりと口角があがっていく。
「よかった...夢だったんだ!」
『夢?なんの事?』あやが不思議そうに尋ねてきた。
「いや~それがさ!変な夢見たんだ!妙に現実味があってさ」私は笑いながら話始めた。今思うと笑えてくる。
「...きて......」
ん?
「......きて!」
ルアの声?じゃあまだ夢の中なのかな?
「...起きて!」
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