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ハッと目が覚める。茶色い天井...ここは?
バッと勢い良く体を起こす。
横を見るとルアが心配そうな顔でこちらを向いていた。
ああ、さっきのは夢か。まあよく考えてみればおかしい。あやとはキグシャクしたままだったし、私にお父さんはいないし。
「大丈夫?何度呼び掛けても起きないから心配しちゃった」ルアはもしかして...とこわばった顔をしてから、私に妙なことを尋ねてきた。
「ねえあなた名前は?」
名前?
そっか、まだルアには言ってなかったっけ...
「私は支倉あかり」私は本名を名乗った。
「よかった.....」ルアはふーっと息をついてゆっくり微笑んだ。
「よかったってなに」
「ねえあかり!」
私が聞き返そうとするとルアは、質問を遮るように私の名前を呼んだ。
「今なら外見に行けるよ、行く?」
そうだ、思い出した。夜になったら外を見に行く予定だったっけ。じゃあ今は夜?窓がないからわからないや。
「うん、もちろん行く」私がそう言うと、ルアはもう一度聞いた。
「外.....見に行く?」ルアの声は少しかすれていた。
断った方がいいのかな。そんな雰囲気が漂う。でも、やっぱり...!
「うん、見に行く」危険かもしれない。でも好奇心は止められない。
「そう、じゃあついてきて」ルアは私がいるベッドの対角に行き、今まで羽織っていた茶色い布をバサッと床に落とした。一瞬目の前が点滅した。なにが起きたの?
瞬きをして、目を凝らす。
ルアの背中に、光っている何かがあった。
「羽.....?」私は恐る恐る尋ねた。ルアの背中には、真っ白な羽...いや翼がある。白鳥のような翼で、少し青がかっている。
綺麗だった。『美しい』という言葉が一番似合う。
「怖い?」ルアは不安そうに言った。
私はしばらく返事が出来なかった。翼にみとれていた。
「.....」ルアは何も言わずうつむいた。
「いい」私はその二文字を頑張って喉の奥から絞り出した。
「いい...?」ルアが聞き返す。
「綺麗...全然怖くないよ!私は好き!」私はベッドからおりて、ルアの方に近寄った。
「もっと見せて.....あっ...もっと見ていい?」私がそう聞くと、ルアは少し笑ってどうぞと言った。
「ほんとに綺麗.....もしかして飛べたりするの?」私は翼をまじまじと見つめながら何気なく言った。すると、ルアは一瞬ビクッとして、「右の翼の上」と言った。私は右の翼を見た。
「あっ.....」その瞬間、背筋が凍った。
そこには、見るに耐えない痛々しい傷があった。右の翼の上に何かで切り刻まれた痕がある。
「痛くはないの、でも飛べない」ルアは悲しそうに言った。
「ごめん!変なこと聞いた…」
すると、ルアは左足をあげてコンコンと床を叩いた。すぐ隣の床が沈み始め、下へと続く階段が現れた。
「さあ!外行こ!!ついてきて!」ルアが階段を降り始める。
階段…、でも今は一人じゃない。ルアがいる。私は少し恐怖を感じながら階段を降りた。
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