陽炎の森

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陽炎の森

陽炎の森1 寛永10年古河城(茨城県古河市)に国替えになった土井利勝に伴って移り住んできた城代家老、村上義清に一人の娘が誕生し、笑美と名づけられた、土井利勝は、 幕府の老中であり、古河16万石の大名である、村上家は幕府の旗本であったが、家康より土井利勝の付家老として送り込まれたのである、 利勝は老中の為、江戸勤番が多く、国の仕置きは、もっぱら、笑美の父である、村上義清が執り行っている、笑美は順調に育っていったが、村上家にはなかなか、 跡取りが生まれず、このまま行けば笑美が婿をとる事になりそうなのである、 小さい頃からまけず嫌いで、母の反対を押し切って剣の道場に通い、男顔負けの腕をしており、髪は後ろに束ね、袴を履き若武者風の格好をしていたのです、 朝起きると馬に乗るのが日課となっており、その日も馬に乗り渡良瀬の森へ早がけし、森の湖で馬に水をやろうとしたところ、一人の男が湖の傍に倒れていた、 のである 近づくと男が気配を感じたのかこちらを見て起き上がり、怪訝な顔をしている、どうしたのだ、こんな所に倒れているとは、腹がすいて歩けなくなったの、     
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