10人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
4
外崎に負けて以来、僕は弱くなった。
普段の早指しができなくなった。
怖くなるんだ。
どれだけ冴えた読みをしていても、どれだけ優勢で戦っていても、ふと、それが正解かどうかわからなくなってしまう。
盤面が真っ黒な水に沈んだようになって、もう何も見えなくなってしまう。
そうなれば終わりだ。
もう指せない。
恐怖が僕の心に抱きついてきて、離さない。
強い僕はもういない。
トップからの転落劇。
ガタガタと、僕の勝敗表には黒星が刻まれていった。
そうして迎えた三段リーグの最終局。
弱い僕は停滞し、強い外崎は最年少プロ棋士となった。
最初のコメントを投稿しよう!