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苦しみ、あがいた、その先には、
虚しさが待っていた。
こうして、賑やかな街並みを歩いていると、今確かに行き交う人達の、
明るく楽しそうな声が耳に入ってくる。
だけど、僕には関係ない。
僕の目には死んだ魚の様に何も映らない。
虚ろな目で見上げてみる。
皆、僕の存在など、
まるで無いかの様に、
通り過ぎて行く。
と、その時、
「大丈夫ですか?」
と声がした。
僕に声をかけてきてくれた人がいた。
僕はハッとして、
その瞬間、一気に目が覚めた。
僕を取り巻く人間は、
どんどん離れて行くのに、
見ず知らずの人が、
僕を心配し、声をかけてくれた。
確かに僕の存在は存在していたんだと、
胸を突かれ、心の奥が熱くなった。
その一言で、
僕は、もう一度、顔を上げて
生きてみようと思った。
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