ケンちゃんの悩み事

3/3
前へ
/3ページ
次へ
”トモダチ”だ、と… そういえば、朝。何か言っていたような…眠くてちゃんと聞いていなかったな。 「もうすぐで帰ってくると思うから、ちょっと待ってなさいって。」 ぬぅ…“オカアサン”にそう言われるとな… 待つ、他ないか。 仕方なく、部屋に戻ろうと階段に足をかけたとき。 玄関のドアが開き、彼女のよく通る声が耳に響いた。 「ただいまー。お、ケンちゃんただいま。待っててくれたの?」 ユキ! 俺はユキに駆け寄った。 ユキの手を引き寄せ、じっと彼女の目を見つめる。 心配したんだぞ! 何もなかったか? 帰って来るのが遅すぎる!…とは、みみっちい男だと思われたくなかったので言わなかったが、良かった。ユキは何ともないようだ。 「もー、ケンちゃんは心配しすぎ!朝、帰りが遅くなるって言ったでしょ。あ、そうだ!」 そう言うとユキは鞄のなかを漁り出した。 引き寄せた手が離れてしまった。 「じゃーん!ケンちゃんにお土産。これかわいいでしょう!ゲーセンでケンちゃんそっくりだと思って取ったんだよ。」 ユキは俺の目の前にぬいぐるみをつき出した。 それは茶色と白の毛玉の塊。 確かに、”かわいい”…が、俺が今、ほしいものは、お前のー 差し出されたぬいぐるみを通り越し、俺はユキの手に触れた。 「ナァーーウゥ」
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加