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「…君も撮ってみる?」
ファインダーを覗いている私に注がれる視線が気になって、私はファインダーから目線を外して彼に向けた。
私の吐いた白い息の向こうに彼の驚いた顔が浮かぶ。
あぁきっと、こんな風に彼を見ることはもうないのだろうなとその時確かに思った。
「いや…僕はいいよ。」
「そう?撮ったらきっと、君も好きになるのに。」
そうすればきっと、どこかでまた会えるかもしれないのに。
さよならの代わりのそんな言葉を飲み込んで、そっと瞳の奥のファインダーに君を焼き付けた。
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