不器用に【*】

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「……じゃあ、まぁ。お言葉に甘えて」 「は? っ……、!」  こくと小さく喉を鳴らした史が、躊躇いなくその首筋に唇を寄せる。指先で触れるよりも微かなそれを繰り返し、気まぐれに吸い上げながら、耳の付け根まで這い上がる。 「っ、も……焦れったいな、クソ」 「なんで。ヨくない?」 「ぁ、……そういう、問題じゃな、っ」  ボディピアスなんてものをしているくせに傷の1つもない耳朶を舌で舐り、柔く犬歯を突き立てる。びくっと顎を引いた田波の声は、微かに上擦り始めていた。 「まだ大したことしてないんだけど」 「は、ぁ……うるさ、っあ!」 「やっぱコレ、やらしすぎない?」  ちゅる、と音を立てて耳朶から唇を離した史が、きゅっと喉を反らす田波を見下ろす。
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