不器用に【*】

4/21
250人が本棚に入れています
本棚に追加
/152ページ
 薄手のシャツの裾から入り込んだ指先は、ボディピアスが飾る臍を通り過ぎて、小さめの輪っかをぶら下げる胸を引っ掻いていた。  小指の先が入るか入らないかくらいの大きさのそれを、史が柔く引っ張る。 「ぅ、あっ……や、いた……っ」  ぎゅっと背を丸めた田波の口端から、たら、と唾液が溢れる。言葉の割には、目元が赤い。 「痛いの、これ」 「い、たい。あんま引っ張んな、ぅ、んんっ」 「でもヨさそうじゃん。痛いの好きなんだ、あんた」 「あ、ちが……っん、んん、や、」  くん、くんと一定のリズムで引っ張れば、面白いように田波の体が揺れる。怒りや屈辱を孕んでいたはずの瞳でさえ、欲に溶けてトロトロだ。 「脱がせていい? シャツ邪魔」 「ん、……ぁ、っ」
/152ページ

最初のコメントを投稿しよう!