不器用に【*】

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 ボタンさえ開けずに悪戯していた手を引き抜き、1つずつ、ゆっくりとボタンを外していく。たまに小指の端で胸を引っ掛けば、ピアスの下がっていない右側だろうと関係なく、田波の背が浮いた。 「……ピアスしてるとはいえ、どんだけヤったらこんな敏感になんの? 意味わかんねえ」 「っふ、は、はは。ガキだから分かんないじゃね」  する……と体に沿って左右に落ちたシャツによって、保健室の橙灯の下に、鈍い銀のピアスが通る胸が晒される。  史は赤く火照る胸とその飾りを見つめ、浅く息を吐きながらも余裕ぶる田波に目を細めた。 「……ま。あんたはそのガキに、犯されるわけだけど」 「あ? っ、や。うそ、まっ──ん、んんっ……!」  男のものと言い張るにはいくらか肥大したそれを口の中で転がし、ピアスに歯を引っ掛け、引っ張って、根を舌先で擽る。  口に含まれると思わなかったのか、田波は盛大に胸を反らし、片膝を立てて、脳に伝わる刺激がいかに強いのか史に知らしめた。
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