不器用に【*】

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 話し声が遠くなり、足音が保健室を離れていく。  ばふっと落ちるようにベッドに背を沈めた田波の、真っ赤になった肌を見下ろした史は、詰めていた息を深く吐き出した。 「……あんたにも、付けときゃ良かったね」  汗に張り付く髪をかきあげた史の、未だひくつく腹に散った白を眺める言葉に、虚ろな瞳が動く。緩慢に自身の腹を見やった田波は、うんざりした顔で息をついた。 「……帰りどうすんだよ、これ」 「体操着、貸してやろっか」 「冗談。……っ、ん」  声をかけて腰を引く史に、ぴくりと田波の足が震える。史は先の膨らんだスキンの口を結び、気怠げにする田波の、ふと上がった指に目を向けた。 「机の横の鞄から、携帯、とって」 「は? 携帯?」 「そう。はやく」
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