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「ほら」
「ぃてっ、なに」
「用事できたら連絡してきな」
こんっと頭に下された携帯と、ようやく体を起こした田波の言葉に目を瞬かせた。
いろんな体液で汚れた衣服を嫌そうに見る田波はしれっとしているけれど、この行為に至った原因は、脅しではなかっただろうか。
「……あんたが言うの、それ?」
「は?」
「あんた、俺に脅されてんだぞ。俺が言うんじゃねえの、そういうの。こう、あんたに拒否権はない的な」
手に戻ってきた銀色のスマホを握り、納得いかないと眉根を寄せた史は、ぽかんと口を開けたかと思うと盛大に吹き出した田波に目を丸くした。
「な、なんだよっ」
「いやいや、確かにそうだなあと思って」
「……そうだろ。なんであんたが」
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