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「いいんだよ別に。脅しってことはこれから何回もこういうことがあるんだろうし、その度にココでってのは普通にマズイ。連絡は取れた方が楽でいいし、なにより、気持ちよかったからまぁいいかなって」
シャツのボタンを閉めながら、なんてことないように田波が呟く。史は信じられない思いで、眼鏡をかける田波を見つめた。
「……、あんた絶対変だ」
「興味か何か知らないけど、男相手に抱かせろっていうお前も大概だと思うけどね」
濡れた下着を忌々しそうに睨んで丸めた田波が、覚悟を決めたような顔でスキニーに足を通す。鞄から財布を取り出したあたり、放課後という時間を利用して買いに出るつもりらしい。
「……シーツ、親父に言ってやろうか」
「殺すぞ」
皺どころか詳しく語れないような惨状のそれをカーテンで隠し、田波がギッと史を睨む。
シャツと薄手のカーディガンで腰回りを隠しながらも不快そうにする田波は、ひらと手を振って史へ眇めた目を向けた。
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