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「よく気がついたね」
「えー、だってなんか雰囲気違うもん」
「分かる。なんかちょっと、チャラいよね」
校則よりも数センチ短いスカートを揺らす女生徒が2人、始業式ゆえにスーツを着た田波に絡んでいるのが見えた。
──顔緩んでんぞ、クソ教師。
夏用の薄いブラウスは女生徒の体型をやんわりと包み隠すけれど、短いスカートから伸びる足の細さが、無意識にウエストのくびれや腰の細さを連想させる。
史はにこにこと愛想を振りまく田波の様子に舌を打ち、カッターシャツのボタンを上から数個開けた。
この1ヶ月半。なんの連絡も寄こさず、お預けを食らわした張本人である自覚を、少しは持って貰いたい。
「チャラいかぁ。切りに行くの面倒で放ってたんだけど、そっか。じゃあ切りに行こうかな」
「その方がいいって。絶対かっこよくなるよ」
「なんならあたしが──」
「センセ」
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