短編

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この世にはたくさんの窓がある。冷たい窓、陰気な窓、ほっとする窓、焦げそうに熱い窓、どうでもいい窓、猫のお気に入りの窓。  その窓はとても細長い。黒い枠に囲まれてあって、右端にはなぜか、小さなマイクが置かれてある。窓はいつでも開かれてあって、覗くたびに景色が変わる。埃はそこへはたまらない。嵐が来ても、壊れない。窓の向こうにはたくさんの人が仮面をつけて、ウゴウゴとひしめき合っている…  これはそんな窓の傍らに立って、四六時中正しい答えを待ち続けている、ちょっぴり哀れな男と女の物語である。
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