ペシミストの嘆き

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そんな事をぼうっと考えていると、肩に回していない方の手がぐいっと僕の胸倉を掴み上げた。 また口から飛び出しそうになる声を瞬時に飲み込む。 「おい、なに無視してんだよ、ガリ勉」 目の前の男子生徒は、さっきの愉しそうな表情から一変して怒りを孕んだ表情を見せる。ドスの効いた低い声は、僕の身体を強張らせる。 「“アレ”付いてんのか?って聞いてんだよ」 極限まで上に向かされた僕の顔は、くしゃりと歪んだ。 「…つ、ついて、る…」 「あ゛ぁ?聞こえねぇっつの」 僕の蚊の啼くような声をピシャリと遮ると、その男子生徒は僕を後方に突き飛ばすように胸倉を掴んでいた手を放す。 ドンッ、椅子の背凭れに背中がぶつかって、痛い。 その痛さに思わずギュっと目を瞑っていると、 「俺が確かめてやるよ」 そんな言葉が聞こえた次の瞬間、背中をぶつけた痛さとは到底比にならないほどの強烈な痛みと圧迫感が、僕の股間に走った。
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