2973人が本棚に入れています
本棚に追加
/519ページ
【第1話:なぜか怒られた】
オレの名前は紅雅 穿輝。
子供の頃はカッコいい名前だと思っていたが、今はちょっと厨二っぽいと少し恥ずかしい……。
先日誕生日を迎え28歳になったばかりで、今は運送会社でトラックの運転手をしている。
その日もようやく仕事が終わり、一度物流拠点に戻る帰り道だった。
そしてもう少しで物流拠点につく最後の曲がり角。
急に飛び出してきたネコに驚きブレーキを踏んだのだが、ちょっと間に合いそうもない! そう思った時だった。
今度はそのネコを助けようとして、少年までもが道路に飛び出してきたではないか!?
「危ない!?」
まだ若い。高校生ぐらいだろうか?
オレはブレーキは間に合わないと判断すると咄嗟に避けようと急ハンドルを切ったのだが、それが仇となってトラックが横転して電柱に突っ込んでしまう。
「ぐはっ!?」
激しい衝撃の後、すぐに意識は戻ったのだが、全身を強く打ったようで体が動かない。
視界も赤く染まっていく。
朦朧とする意識の中、横転したトラックの窓からふと少年と猫が無事な姿が見えた。
何か必至に叫んでいるようだが、残念ながらもう何も聞こえなかった。
最初のコメントを投稿しよう!