【第1話:なぜか怒られた】

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 何もない人生だった。  彼女がいた事もあったが、仕事が忙しくて長くは続かなかった。  稼ぎはそこそこあったけれど、趣味はMMORPGぐらい。  友達と呼べる者はMMORPGの中だけだった。  でも、人生の最後に人の命を奪わないですんで良かった。  オレはそう思いながら、ひっそりと最期の時を迎えたのだった。  ~ 『……きなさい……』  眩い光の中で意識を覚醒したオレは、何か遠くで透き通るような綺麗な声が聞こえた気がした。 『起きなさい。紅雅 穿輝よ』  あれ? 気のせいじゃない?  しかし、オレの意識は覚醒したのだが、どうにも体が思うように動かせない。  え!? 体が存在しない!?  オレは軽いパニックに陥るが……、 『起きろって言ってるでしょ!? な~に一人でパニックおこしてるのよ!』  パシンッ!!  ……痛い……体は存在しないようなのに、思いっきり頭を叩かれたような強烈な痛みが走る。 『意識の中で言葉を発してみなさい。そうすればこの世界で言葉になるわ。わかる?』  まだ混乱していて何かよくわからないが……やってみるか? 『わかったのなら返事!!』 『は、はい!!??』  あ。出来た……。  でも、この人すごい怖いんだけど……。     
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