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第一章 至高四神
そのかみ、世界には何もなく、ただ何もないということだけがあった。
その何もないものが、目を開いた。
そこで光は光となった。
開いた目は、自分のほかに何もないことを嘆き、身を震わせて、一筋の涙を流した。
その震えは動きに変わり、そこに時間を司るものが生じた。
そして流した涙は上から下に流れ落ち、そこに正しい秩序と転変、事象の均衡を司るものが生じた。
ここに在って在る神、時の神、転変と均衡の神という至高の三神が揃うことになった。
光の中に生じた至高の三神は、光の下に長い影を落とした。この三神の三つの影が交わったいと深き影の中に、あるものが生じた。
このあるものは、深い影をその身とし、在る物を無に還すことだけを考えるものであった。ここに四つ目の至高の神、虚無の神が生じた。
始まりの三神は、生成と消滅は留め得るべきではないとし、次の無の神を認めた。かくして生成と消滅は、無限に繰り返されることとなった。
だが、在って在りはじめたばかりの世界は、まだ消滅するべきではないとした始まりの神は、虚無の神を説き伏せて深い眠りに就かせた。
ここにいつかは消滅する世界が始まった。
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