第三章 緑の大地

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 初めて見る低きところの枝の上には、初めて見る“動物”が神々に守られて幸せに暮らしていた。  だが低きところの枝からは、いと高きところの枝は見えず、“動物”は神々を知らなかった。  そのかわり、“動物”は更に低いところにある、いと低き枝を知っていた。“動物”からいと低き枝を聞いた“人”、特にドラゴンは強い興味を抱き、更に幹を降ろうと欲した。“動物”、特に賢き鳥も“人”と思いを一つにし、幹を降ろうと欲した。  しかし、低き枝からいと高き枝には、声も届かなかった。そこで“人”と“動物”は、神々には告げずに低き枝を降り、いと低き枝に降り立つべく幹を降った。  幹を降ること永劫に近かった。しかしやがて“人”と“動物”はまだ見も知らぬところ、いと低き枝の上に降り立った。  初めて見るいと低きところの枝の上には、何もなく、ただ茫漠として乾いていた。  “人”と“動物”は、不思議に思っていと高きところに問いを投げた。  だが声はそこには届かず、“人”も“動物”も悲嘆に暮れた。  しかし、ドラゴンは初めて気が付いた。いと低き枝の遥か下に、緑色の大地が広がっていることに。     
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