第五章 人倫の神々

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第五章 人倫の神々

 かくして神々の導きで、“人”と“動物”は地上において体を宗としつつ栄えることとなった。  だが、“人”も“動物”は常に飢え渇いた体を抱えていた。“人”も“動物”も己の生を己で支える為、他のものの血肉を必要とした。そこには何の感情もなく、ただ己の生命を繋ぐことしか見えてはいなかった。このままではすべての生命は互いに食い合ってびてしまう、白き神々も黒き神々もその様に恐れた。何故ならそれは生と死の正しい秩序に逆らうこと、そして存在することという第一の命題にも背くことだからである。  ここに神々は集い、三度目のパンデオスが開かれた。  しかし神々は如何に爲すべきか、思案に暮れた。二十の神々は長く黙したままだったが、やがて秩序を司る至高の一神が重々しく述べた。低き枝に生まれた“動物”には適わぬことだが、高き枝に生じた“人間”には、神々の徳の一部を理解することができる、と。     
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