第二章 世界樹の実

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第二章 世界樹の実

 そのかみ、在って在る神の流した涙は、深く静かな水晶の海となった。  どこまでも広く、果ての在って果てのない、どこまでも深くてどこまでも浅い水晶の海であった。  ある時、水晶の海の只中に一つの芽が生えた。  在って在る神はそれを在るべきこととなし、時の神はそれを見守り、秩序の神はそれを育つべくなした。無の神の眠れる間、その芽はゆっくりと成長し、いと高きところにまで梢の届く巨大な樹となった。  世界を覆う世界の樹は、いと高きところの枝、高きところの枝、低きところの枝、いと低きところの枝の四つの枝があり、それぞれの枝に十の実がなった。  まず時満ちて、いと高き枝の実が熟し、十の実は二つに割れて、二十のものがそこに生じた。その内十のものは白く、十のものは黒いが、いと気高く優れたものであった。至高の神々はこれらをよしとされ、そのいうことに耳を傾けた。  かくして二十のものは、命なき世界の十の事象を司り、見守ることとなった。そして在って在る神はここに総てを二柱の至高の神と二十のものに任せ、虚無の神と同じく深い眠りに就いた。     
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