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試着室のような場所に案内され着替えたスーツはとても着心地が良く、そして姿見に映る自分は自分でそんなことを思うのはあれかもしれないがいつもの何倍も魅力的に見えた。
試着室のカーテンを開けると、カルロが目を輝かせる。
「素敵です。思った通りだ。」
そんなにうっとりと見られると恥ずかしくなる。ただ、1つ難点が。
「これすごくかっこいいけど、普段着てるジャケットとは合わせたらアンバランスになりそうだ。」
苦笑いすると、カルロがにっこりと微笑む。その表情はなんだ。
ものが良く、自分にぴったりなのはいいけれど、これは上下セットでちゃんと作るやつだ、、、。なぜ下だけなんて言ったんだろ。
買わせるつもりか?そういう作戦?
…をする奴じゃないよな。
「実は上ももともとあったものをノアさんに合わせて手直ししたものなんです。よかったら僕の自己満足のために着てください。」
「いや、そういうわけには。」
いかない、と答えようとしたのを、彼の長い人差し指が口に当たり止められた。
いやでも、ただで一式もらうとか、前着てたのも確かに気に入ってはいたがこんなにいいものじゃなかったし…
「ではお菓子のお礼です。」
これ以上何も言わずもらってくれ、という謎の威圧を感じる。まあ、実際もらえることは嬉しいし、もらっとくか。
「じゃ、ありがたく。」
「嬉しい。」
もらうのはこっちの方なのに、こんなににこやかに微笑まれるとこっちが何かしてあげたように思えてしまう。気づけばもう彼に感じていた違和感は無くなっていた。
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