プロローグ 今日の気分と空の色

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1人目は、もう星になってしまった人。彼はこの空のどの星なのだろうか。 「私にはそうとしか見えないわ。」 「気分?」 「そう。気分。」 そう言って笑う彼女も、俺には寂しそうに見える気がした。 気分…か。たしかに、非科学的でもそれは、俺たちの1番大事な部分に関係しているものなのかもしれない。 「俺は、ノア。ノア・メイスフィールド。」 なぜか名乗りたくなった。たとえ今ここで終わる関係だとわかっていても、…いや、ここで終わるからこそ、彼女に名前くらいは伝えておきたいと思ったのだ。 彼女は一瞬驚いたような顔をして、それからそれはゆったりと柔らかい微笑みへと変化した。 「シンシア・シェイクスピア。」 その言葉が終わるのと同時に、パーティー終了の挨拶が響く。 俺たちは挨拶も交わさずに、別々の方向へと戻っていった。
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