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「お、いいな。じゃあその店まで行くか。
…カルロが食べ終わったら。」
「遅くてごめんなさい…」
ノアさんは同時に食べ始めたはずなのにスープもパンも綺麗に食べ終わっている。一方自分の方を見るとスープもパンもまだ半分近く残っている。
動作が遅い上に咀嚼するのに時間がかかるからどうにも食べるのが遅いのは、昔からの悩みだった。
「いや、味わってゆっくり食べたほうがいいに決まってる。」
怒らず笑って許してくれる彼に甘えてゆっくりと食べ進める。それを邪魔しないように彼は静かに見守ってくれた。
食べ終わったあと着替えようとして、何を着ようか悩んでしまう。彼の私服はカジュアルだがとてもかっこよく、センスの良さがうかがえる。
ノアさんのコーデはこんな感じだよなぁとなんとなくそれっぽい着こなしをして、あまりの似合わなさに吹き出しそうになった。
どうしようとあれこれ悩んだ結果、チェックのシャツにラインの入ったベージュのセーターという無難な格好に落ち着く。
結局ノアさんに合わせるより自分に合った格好があるということか。セーターの上にコートを着るほど寒くはないので、マフラーを巻いて。
「行くか。」
「はい。」
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