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ep15 過去の告白と愛の告白
冷たい風が体に沁みる。やはり夜はまだ寒い。コートを持って来ればよかったと思いながら、マフラーをよりきつくぐるぐると巻く。
パーティーは楽しかった。アシュリーさんもテオもマフラーを喜んでくれたし、何より楽しそうだった。
カルロは話の空気を読むのが上手だ。ところどころうまく話をまとめたり、振ったりしてくれたから、あの場の空気にしっかり溶け込んで、ずっと前からあの場所にいたみたいに自然だった。
幸せだったな。いずれ、彼がもし、あの場に自然にいてくれる存在になったらいいなと思った。
「寒いな。帰ったら何か温かいものでも飲むか。」
横で寒いからかさっきよりさらにゆっくりと歩くカルロに歩調を合わせながら、笑いかける。
「ノアさん。」
「ん?なに?」
「話があるんです。」
ただならぬ空気で、彼は俯いてその場に立ち止まってしまった。俺の袖の端をきっちりと握る二本の指から、彼が震えているのが伝わってくる。
「それ、今日じゃないとだめ?」
何か嫌な予感がして、聞いてみる。彼の目が決意と怯えの色を浮かべている。
「今じゃないと、だめです。」
震える声でそれを言った後、彼が大きく深呼吸をする。
「約束したことを、お話しします。」
ずっと知りたかった、彼の口から聞きたかった言葉なのに、今はなぜか聞きたくなかった。それでも彼は構わず続ける。
その話を、過去に彼の周りにいた人に対しての怒りを押し殺しながら、俺も黙って聞き続けた。
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