ep16 それぞれの悩み

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ep16 それぞれの悩み

※1番近くに。のep25 と同じシーン。カルロ視点からのお話です ノアさんから告白されて10日程度。年も明けて、また月は12から1にリセットされた。 あれは、告白、だったと思う。いや、多分そうだ。好きっていうのも、本当に信じ難いけれど、多分あの言い方であの表情から察するに恋愛的な好き、だろう。 僕も彼の1番になりたい。彼に告白されてとても嬉しかった。同時に、離れられた方が辛い、というように言われて、汚いと思っていた自分が、彼の瞳を通してみると宝物のように見えるようになった。 ただ、問題がある。告白されて告白し返したから、この関係は恋人と言っていいだろう。 それなのに、ノアさんは何もしてこない。一度僕のわがままが導いたことだとは言えキスをした仲なのに。 やっぱり男の僕ではだめなのだろうか。ノアさんはたくさんの女の人と愛し合ったと言っていた。それとも僕が女の子になりたいと願っていたことがいけないのか… 全くわからない。 隣ではテオが細かい部分の縫い合わせをしながら3度目のため息をついた。彼も何かあったのだろうか。 「どうしたの?悩み事?」 彼は仕事をいつも楽しそうにしているから、そのため息は仕事に対してではないのだろう。 今日はこの後誰も来る予定はないし、僕も自分の考え事をぐるぐるとするよりいっそ静かなよりはテオと話していた方が気が休まる。 「あ、違うんです。…いや、そうですが、ため息は心の中でついたつもりでした、、、。ごめんなさい。」 「大丈夫、気にしないよ。でも、ずっと静かにしてると疲れるし、この後お客さんも来ない。 もしよければ何があったか教えて。」 本当に、なんでもいいから気を紛らわせて欲しかった。だから聞き返してみた。
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