ep17 どんな君でも。

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ep17 どんな君でも。

「ただいま。 …ん?どした?」 仕事を終え部屋に戻ると、いつもならソファで仕事の残りをしているカルロが、今日はなぜか帰るとドアの近くで待っていて、帰ると同時にこちらに歩いてきた。 「あの、ノアさんに話があって。」 …様子を見る限り、そこまで深刻な話ではなさそうだ。ただ、そわそわしている気がする。 「ちょっと待ってて。夕食食べながら聞くから。」 「わかりました。」 そう言うと、やはり仕事をしにソファに戻るのではなく、食卓に座ってじっとこっちを見ている。 あまり待たせてもかわいそうだし、今日は何か簡単なものにするか。…いつもそんなに手の込んだものは作ってないけど。 スープは朝作ったものを温めるだけにする。この時期はまだ放置していても保存がきくからありがたい。 それと焼いたパンとサラダ。朝食みたいだが、もう遅いしこのくらいでいいだろう。 出来上がる頃になってカルロがテーブルをきれいに拭いて食器をセットしてくれる。彼がセットしたテーブルはいつも完璧で、ホテルのレストランのよう。 いただきますをして食べ始めると、カルロは無口になる。何か言いたそうにそわそわしながらも、いつものように彼は食べている間ほとんど喋らない(誰かと食事会みたいなのをするときは喋る)。しかも今日は急いで食べているので全く何も話さない。 夕食の時にきくよ、と言ったのは間違えだったと今更気づいた。結局カルロが食べ終わるまでは無言の時間が続いた。 「それで、ノアさん、お話ししてもいいですか?」 「もちろん。」 むしろ場の設定をミスしてかなり焦らしてしまったことを申し訳なく思っている。 「あの、僕とノアさんは、その、 …恋人として、付き合ってるんですよね…?僕の勘違いだったらごめんなさい。」 顔を赤くしながら言われた言葉に耳を疑った。思わず驚いて声を失う。自分の顔が熱くなっていくのを感じた。
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