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はじめて埋めあったとき。
※ep17と18の間のお話です。よろしければお付き合いください。
溢れてくる涙をそっと指ですくう。カルロの?はほの紅く染まっており、不安そうな目で俺を見ている。やはりまだ怖いのだろうか。
いや、もしかして…
「…初めて?」
問いかけると、彼は恥ずかしそうにこくりと頷いた。てっきりカルロの事情を聞いてすでに経験済みだと思っていたから、それが余計に愛おしい。
「…ごめんなさい、面倒、ですよね…?」
眉を下げ、捨て犬のように見られては、かえって煽られてしまう。
…初めて、か。大事にしなくちゃな。
今までは初めてかどうかさえもあまり気にしなかったのに、自然と彼に対してはそう思った。
勿論、どんな相手にでも前戯は十分準備をするからそこは変わらない。それでも今までで1番…、いや、今までのことなどすべて忘れて、自分ができる最大限大切にしよう。
「むしろ俺が初めてで嬉しい。…俺の部屋、行こうか。」
急ぎ過ぎだと頭ではわかっていても、自分の心臓は胸から飛び出そうなほどにうるさく、そして中心は硬く熱を帯びている。
カルロは声も出せないほどに緊張し、固まってしまったが、スーツ越しに映る彼のそこはしっかりと反応しており、安堵のため息が漏れた。怖がっているわけではない。
…俺がしっかり誘導してやらないと。
「行こう。」
耳元で甘く囁くと、彼がピクリと震えた。小刻みに震える彼の肩を右手で抱き込み、左手でその美しいブロンドの髪を優しく撫でる。
少し体重を預かりながらカルロを部屋へと誘導すると、おぼつかないかくかくとした足取りで彼もまたゆっくり歩み始める。
その動きさえも愛おしくて、同時に煽られて、鼓動がどんどん早くなっていく。
まだ交わったわけでも、ましてや彼の何もまとわぬ身体を見たわけでもないのに、俺はどうしてしまったんだろう。今までは性行為の最中さえもここまで熱くなることはなかったのに。
「ごめん、カルロ。」
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