ep3 少しの違和感とプレゼント

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ep3 少しの違和感とプレゼント

すぎた気遣いはかえって迷惑だ。今日は手ぶらでいこう。 結局カルロのことは放っておけないのと話しが合うのとで5回目の訪問となったドアを叩く。 「ノアさんこんばんは。」 ノック中に躊躇なくドアが開け放たれる。早すぎて心の準備ができていなかったため、少し驚いた。 「だから誰がきたかくらいは確認しろって!」 天然で抜けてて弱そうな奴がこんなに無防備なのは本当にまずい。本気で心配しているのに、当の本人はまだにこやかに笑い流している。 「裏からくるのはノアさんくらいですから。 あ、パンツ完成したんですよ!履いてみてください。」 「おっ! …いや、でも俺そういえば今日スーツ着てないわ。」 「見本品として作ったものがノアさんのサイズに近かったので、上はそれを着てください。」 じっと見ていると、嬉々として奥にスーツを取りに行く彼の足の布が外れていることに気づいた。 「足、もう痛く無いか?」 「はい。全く問題ないです。」 それよりなんというか変だ。今日の彼を見ていると何か違和感を覚える。会ったばかりの俺がなんとなく、だなんて根拠のない話だ。ただ、どうしてから無理に気丈に振る舞っているように見える。 「今日、何かあった?」 「…いえ、何も。 あ、それよりこれ、着てきてください。」 聞いた途端そらされた目と微妙な間が気にかかる。そして無駄に明るい声も。ただ、明らかに隠したがっていることがわかるから、敢えては聞かない。
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