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彼女は一瞬悔しそうにし、すぐにポーカーフェイスに戻った。
「あ、ほんとですね。全然気づきませんでした」
「嘘をつけ!」
思わず敬語がとれてしまった。大人しい見た目をして、意外と強かなのかもしれない。僕は咳払いをし、消してください、と言った。
「嫌です」
「すみません、ありがとうござ……え?」
彼女はつん、とそっぽを向いた。それから画面を見て、あれ、と呟く。
「これ、白い……もや?露出間違えたかな」
「そうなるんだよ」
彼女がぱ、と顔をあげた。
「誰が撮ってもそうなるんだよ。だから撮影しないでほしいのに……」
「綺麗なのに」
「え?」
「何でもない。じゃあ私はこれで」
「いやいやいやいや」
慌てて引き留めて、両の手を合わせる。
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