snow man

5/5
前へ
/6ページ
次へ
「え?ちょっと意味が」  こんなに心が揺れたのはいつぶりだろう。もう、月日を数えるのもやめてしまっていたから。 「雪の花のこと、教えてくれてありがとう。看板は捨ててもらっていいよ」 「は……?」  ひときわ強い風が吹いて、彼女の視界を遮る。彼女が腕を伸ばすが、その手が僕に触れることは絶対にない。あの日からずっと、知っていたことだ。 「待って、あなたは……」  風がやんだ頃、彼女はひとりで立ち尽くしていた。足元には足跡が一人分しかない。  彼女は最初から、ひとりだったのだ。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加