第三話

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第三話

戸締りしようと思っていた裏口から、黒い影が入ってきた。 ……鍋二郎さまがお越しなされた。 父親が亡くなって以来、逢うのは初めてだった。 思わず、初音の顔が花が開いたようにほころぶ。 「な……」 と云いかけたところで、ぴたりと止めた。 兵部少輔(ひょうぶしょうゆう)ではなく、 ……湧玄だった。
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