ピンクが抜け落ちた世界であの子が私を待っているから

非現実

どうしてだろう？
いつもなら絶対そんなことはしないのに。
何故そんなことをしたのだろう？
思い出せない。

知らない土地まで車を走らせた。
どんな用件でこの辺りまでやって来たのかは思い出せない。

エンプティーランプが点灯していて、もう少しでエンジンが止まってしまうことに気づいた時、進行方向にガソリンスタンドは見当たらず、取り急ぎ安全に停車できる場所を探した。

幸い、進行方向に車を購入したメーカーの系列店がある。
そこなら最寄りのガソリンスタンドの場所も聞けるかもしれない。

後部座席では娘が寝息を立てている。
外は土砂降り。
上着を脱ぎ娘に羽織らせ一人車を降りて鍵をしめて店まで走った。

誰かに道を聞こうにも何故か店には人が一人もいない。
ガラス越しに外を確認すると幸いなことに少し先にガソリンスタンドがあることに気づいた。