非現実

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焦る私の目の前に突然コンビニが現れた。 沢山の傘が陳列してあるコンビニ。 いや、よく見ると店の商品全てが雨具になっていた。 ドリンクケースに色とりどり、幅色々サイズの長靴が並び、商品陳列棚に並ぶのはレインコートにポンチョに折り畳み傘。 レジには雨具を買い求めに来た人の長い列が出来ていている。 店いる店員は全員レジで客を裁いるし、レジには並ぶの人達はみんな必死の形相でとても道を聞くことなど出来ない。 コンビニを出て、他の店を探そう。 外に出ると暗闇が広がっていた。 気づかない間に想像もつかないほどの時間が経っていたに違いない。 きっと娘はもうずっと前に起きてしまっていて、車の中で一人泣いている。 いくら泣いて呼んでも、叫んでもママは来ない。 どんなに心細いだろう。 寂しいだろう。 きっと喉が渇いているはず。 きっとお腹が空いているはず。 オムツが濡れて気持ち悪いだろうに。 ごめんね。 ごめんね。 いつもならこんなことは絶対にしないのに。 ごめんね。 何故こんなことをしてしまったのだろう。 ごめんね。 本当に、本当にごめんね。 何故こんなことになってしまったのだろう。 どうか娘が無事でありますように。 どうか、どうか誰かが娘に気づいてくれていますように。
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