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「(助けてー!!)ああー…」
かすれるような声が自分の口から出たことに気づくと、いくつかの足音がこちらに駆け寄ってきた。
「気がつきましたか? よかった!! 」
「先生を読んでー! 」
「よかった。よかった。」
「ご家族は?」
「旦那さんさっきまでいらしたんですけど、今着替えをしに家に戻られました。」
「旦那さんに電話お願いー!」
何人かの声が飛び交う。
私は今まで眠っていたのでは無く、意識が無い状態だったのかもしれない。
暗闇の中、動かすことの出来ない身体に強い痛みを感じる。
あの瞬間、私達は大きな事故に遭ったに違いない。
そんな…後部座席にいた娘は…娘はどうなったのだろう?
「あー … あ」
今すぐに娘の状況を聞きたいのに、思うように声が出せないでいると、私の強い感情が鼓動の速さに現れて機械を通して伝わった。
「えっ? どうしましたか? 痛みますか? 」
「今痛み止め入れましたからね。」
「旦那さんどの位で着きそうですか? 本当ですか? よかった。」
「旦那さんまだ病院内にいたみたいで、もうつぐ着きますからね。」
何故、この人達は一緒に搬送されたはずの娘のことについて触れないのだろう。
もしかすると話せないほどに悪いのか、或いはもう…
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