第三章 瓦解

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第三章 瓦解

虚無(きょむ) 今までどんな困難なことがあっても、必ずアイディアを出して一人で乗り切ってきたはじめであったが、病気の後は弱気で突き進む力が無かった。そんなはじめの状態が経営成績にも顕著に現れた。荻窪営業所を手放したことが相当堪えていた。こんな状況でも顧問の赤池裕一は何もアドバイスは言わず、受け身に徹していた。洋子は赤池が送り込んだ経理課長にも不審を抱いていた。会社の内部事情が逐一赤池に報告されているようだった。洋子は以前にもまして仕事がしずらくなっているのを感じていた。洋子は、はじめに対して普段通りの対応を心がけていた。熱海の件は忘れることにした。     
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