血液依存

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 珍しく朝から登校した日、イビキやら叫び声でざわつく教室でまた眉毛女が話しかけてきた。眉毛が三分の二くらいになっている。 「なー、あの子は?」 「やめた」 「は?やめたとかウケる」 「眉毛生やせ」 「やっと大学行く気になったか」 「おう」  カーネル・サンダースが教室に入るなり僕を見て驚愕の声をあげた。  季節が変わったころ、ユウキと夢の中で会った。  眼球のないユウキはどこを見ているか分からないまま、ただ黙って立っていた。  夢から醒めた朝、僕は何となく一度だけユウキに電話をかけた。  彼はすでに、僕がいるところとは違う世界に足を踏み入れた後だった。 【了】
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