血液依存

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 ユウキと初めて会ったのは何故だったか憶えていない。  知らない誰かを誰かが連れてきて、彼ら彼女らからすれば僕もその誰かだった。いつも名前や人となりは後から着いてきて、しかも等しく意味が無い。  そんな無為な流れの中に、たまたま僕とユウキも共に在っただけだ。  わずかに舞う埃がカーテンの隙間から差し込む昼の陽の境界を鮮明にしていた。昨夜から寒いくらいエアコンが効いている。起きているのか寝ているのか分からないまま、その向こう側の木板造りの壁をぼんやり見つめて、なんとなく節の数を数えていく。二十あたりで面倒臭くなり、僕の胸のあたり、ユウキの首筋の横をくすぐる。塞がりかけたピアスの穴。ふ、と息をついて彼が寝たふりから目醒める。  テーブルの上には僕の眼鏡と灰皿がわりの空き缶に、剣山のように隙間なく刺さった吸い殻の山。と、樹脂製の小瓶が転がっている。当時合法だったラッシュは、僕には効かなかった。本物かどうか確かめる術も無い。
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