血液依存

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 夜はまた一緒にいることを約束させられた。十九時に落ち合って夕飯を一緒にとる。  ときおり髪を分けながらハンバーグをつつくユウキの細く白い手首に何本かの傷を見つけたが、僕は何も言わなかった。  ファミレスを出たあと、なんとなく港沿いの不埒な公園に行く。夏の盛りを過ぎた今も日が長く、まだ夕方のように明るい。 「向こうのグラウンドでいつもダンスやってる」 「踊れるの?見たーい」  適当な作りの傾いたアスレチックに二人で座っていたら、ふざけて背中にユウキが抱きついてくる。  顔立ちも格好も華奢な少女みたいな彼だけど、身体はしっとりと硬い。 「ね、アキちゃん。舐めていい?」  翌日は自分なりに頑張って早起きし、見事昼休みに登校できた。駐輪場で一服してから教室に入ると、同じクラスの眉毛が半分無い女子が話しかけてくる。 「なー、きのう誰かいたよね」 「彼女」 「うっそ、また?ウケる。どうした受験生」  前期の校内模試では、文系の首位は僕だった。全体のレベルが低いこんな高校ではまったく自慢にならない。 「お前の眉毛海に浮いてたよ」 「は。黙れし」  眉毛が俯き加減に少し癖のある髪をいじり始め、口ごもる。 「てかさー、結構可愛かったよね。しかもあそこでアレやるなよって」 「ちゃっかり見てんなよ」 「なー、どこの人?」 「知らん。興味ないわ」
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