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中学生の時、私は神童と呼ばれた。出した写真が全てコンクールやコンテストで優勝したからだ。
それも全部、空の写真だった。
だから付いた二つ名が「天空のカメラマン」。ちょっと中二病っぽい二つ名だけど、私は気に入っていた。
空の写真といえば私。私といえば空の写真。
中学生でこれなら――と、将来を一身に期待されていた。
それが今や、どうだ。
高校になってから、箸にも棒にもかからなくなった。
弱小写真部も私が盛り立ててあげる、とばかりに高校の写真部に入ったのに。高校からカメラを始めた後輩に負けている始末だ。
私は校庭に出て、空を仰いでいた。夕闇の近づく空は、いかにも写真映えしそうだ。
鞄から一丸レフを取り出して照準を合わせ、ぱちり。
今度こそ、という思いと、どうせまた、という思いが混在する。
もやもやした気持ちを抱えた私は、このまま帰るのが嫌になって、下駄箱に引き返した。
(今日は調理部、やってる日だよね)
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